蒼茫の海を思わせる深い青と透明感。瑠璃釉に魅せられ、瑠璃色の作品を作り続けているのが、有田焼の中心・有田町にある「坂本窯陶工房」です。坂本達也さんは、青色の顔料である呉須を数種類ブレンドした、独自の瑠璃釉を用います。磁土100％の素材で作る器は、釉薬を厚く掛ければ掛けただけ色が濃くなりますが、焼成時に割れやすいというリスクを伴います。そのため、瑠璃釉のみで作陶する窯元は非常に珍しく、「それが面白さでもある。唯一無二のものを作りたいですね」と坂本さんは語ります。工房には、お父上である義弘さんのモダンな布目染付の作品や奥様・ゆう子さんの有田焼のアクセサリーも並びます。瑠璃の世界を追い求める坂本窯をのぞいてみませんか。
「ムラなく、濃い瑠璃色を」。難度の高い技術に挑戦し続ける坂本さんの作品には、凛とした気品が漂う。海の底のような深い色合いが素晴らしい
(上) 坂本達也さんは、1999年の独立以来、数々の陶磁展で入賞。その作品は一部の料理人から絶大な支持を受け、銀座や名古屋、遠くは北海道の飲食店で愛用されている
(左) 父・義弘さんの作品の特徴は、布目染付。数種類の呉須を使い、布の文様に片切り彫りと線彫りを組み合わせて立体感を出す。緻密で深みのある作風が持ち味だ
