


佐賀県武雄市にある「宝寿窯」は、アーティスティックな気配が色濃く漂います。まるで削りだしたようなダイナミックな片口や、触手を伸ばす海洋生物を模した花器は、自然のエネルギーが宿っているかのよう。陶芸家・山本文雄さんの信条は、「創りたいものを、創りたい時に、創りたいように創る」。伝統的な有田の手法にとらわれないインスピレーション優先の精神性は、作品に如実に表れています。生命力に満ち溢れる作風は、国内外で高い評価を受け、多くのファンを魅了してやみません。アウトドアスポーツが趣味だという山本さんは、自然の中で作品のモチーフを見つけることも多いそう。その作品は、器を知り尽くした人の心をくすぐるような遊び心を感じさせます。


山本文雅さんは、もともとはイラストレーターを目指していたそう。自然界のありのままの姿をモチーフに自由に作陶する異彩の陶芸家


(上) 山本さんの作品はどちらかというと玄人好み。料理店のお客さまが、店で使っている山本さんの器を気に入って買い求めに来られることも多いそう
(左) どの作品も伝統的な有田焼とは異なり、造形は自由奔放で斬新な作風。有田で育った誇りとして磁器も作るし、陶器も作る