


年月を経たいぶし銀のような風情の建物が続く「奈良井宿」。それぞれの軒桁に掛けられた“旅籠”と“民宿”の文字と格子窓が、江戸時代の趣きを今に伝える宿場町です。NHK朝の連続ドラマ「おひさま」の舞台にも選ばれました。
約1㎞の宿場沿いの街道では、伝統の漆器屋をのぞいたり、香ばしく焼き上がる匂いに引き寄せられてせんべい屋に立ち寄りながら、ぶらりぶらり。途中には、冷たい水がトクトクと湧き出る水場があります。この水は今も地域の人々の生活を支えていて、ちょっとした洗い物をする人がいたり、“水端会議”の場としても活躍中。そんなのんびりとした風情を眺めていたら、ふと「陽子」の笑い声が聞こえてきそうで、なんだか幸せな気分になりました。


鳥居峠の登り口にある「鎮(しずめ)神社」は、「奈良井宿」の守り神として、はるか昔からこの土地を見守っている。樹齢数百年のスギやヒノキの巨木に囲まれた荘厳な空間だ


(上)「奈良井宿」には6カ所の水場が点在。旅人にとっても地元の人にとっても憩いの場として親しまれてきた
(左) 毎年節分の日に開催される「アイスキャンドルまつり」。手作りのアイスキャンドルが灯す、奈良井駅から鎮神社までの道のりは幻想的な雰囲気