


国宝 松本城からほど近い街中に、軽やかな木の器を作り続ける木工デザイナー・三谷龍二さんの常設展示ギャラリー「10cm」が佇んでいます。古いタバコ屋の建物をリノベーションし、「モノを使う空間の豊かさを伝える場所にしたい」という思いを込めた全国で唯一の場所です。植物油を中心とした塗料で木の質感を楽しめるようにと作られたオイルフィニッシュ作品のほか、「和食に映える器を」と考案した“お歯黒染め”の黒い器など、それぞれの器の持ち味とその機能美に触れているうちに三谷ワールドに引き込まれてしまいます。使い続けるうちにその風合いが変わっていくことも、木工品ならではの魅力の一つ。木の器と共に暮らす楽しみを知るひとときです。


三谷さんの作品を購入できるギャラリーをというファンの声に応えてオープンした。奥では、若手作家などを中心とした企画展を開催することも多い


(上)植物染料と酢、鉄などを使った三谷さん考案の染料で木地を染めて、生漆を刷り込むことで生まれる重厚な鋼のような質感が魅力の黒い器シリーズ
(左) 改装時に見つかった金属のステンシル板が店名の由来。ギャラリーをオープンするまでの思いは、著作「三谷龍二の10センチ」に綴られている