「阿蘇の一軒家を
貸し切って呑んで、食べる」

熊本空港から車で約20分、俵山へと続く自然豊かな県道から小道を上ると“オリーブの樹”という看板が見えてくる。１日１組限定でもてなしてくれる絶景のオーベルジュだ。

予約時間よりも少し早く到着したら、早速テラスへ。茜色に染まっていく金峰山、そして有明海に沈む夕日を眺めながら、ワインを傾ける。これこれ！このひとときが、最高のアペリティフなのだ。

やがて辺りを夕闇が包み、キャンドルの灯が映える頃、旨そうな匂いに誘われて室内へ。テーブルに着くと、地元の厳選食材を使ったイタリアンのフルコースがテンポよくサーブされる。オーナーの吉村洋子さんは、地元熊本出身ながら東京からUターンしてこのユニークな店を切り盛りしている。「私はお越しいただく皆さんにここで心地よい時間を過ごしていただくお手伝いをしているんです」と静かに微笑む。その気配りの行き届いた優しい空間は確かに心地よく、まるで“我が家”に居るような錯覚を覚える。もう一杯、あともう一杯……とグラスを重ねるうちに、窓の外には熊本のきらめく夜景が広がっていた。

たまらず席を再びテラスに移して、空港から飛び立つ飛行機の航跡を眺めながらさらにもう一杯。これぞ至福のひととき！今宵はオーナーに頼んで、ヴィンテージを抜いてもらおう。