
高知
農家民宿 はこば
「今日も獲れたて
四万十の恵み」
四万十町の奥の院、山間の小さな集落にある『農家民宿はこば』まで田辺さんの料理を食べにきた。近くを流れる中津川は、四万十川の支流のまた支流。いわば清流の源だ。古くからの沈下橋の隙間を流れるせせらぎの音。四方を囲む山からの風を味わいながら農道を散歩すれば、すれ違う人が皆「ああ、田辺さんとこの」と笑顔で挨拶してくれる。
宿の主、田辺客子(ひとこ)さんは、民宿を経営しながら、昔ながらの自給自足農業を続けている。ちょうど夕食の用意を始めるところだと聞いて、食材の収穫からご一緒させていただくことにした。土の香りに包まれた大根を引き抜き、ホダ木栽培のシイタケをグイともぎ取る。それらはほどなく田辺さんの手料理に姿を変えて、囲炉裏をぐるりと取り囲む。
地元ブランドの豚と一緒にしゃぶしゃぶにするのは、清流に自生したクレソンの摘みたて。ピリッと辛く、葉が大きい。以前、有名フレンチ店で「なかなか手に入らない天然もの」だと、うやうやしく出されたものと同じである。
どれから食べようか迷う時間もまた楽しい。ひとり占めできる時間は十二分にあるのだ。




高知
農家民宿 はこば
- 住 所
- 高知県高岡郡四万十町大正中津川146
- TEL
- 0880-27-5305
※1名1泊、7,000円(夕朝食付き)
※記載内容はFDA機内誌「DREAM3776」Vol.15号(2016年3月発行)掲載時のものです。