


八甲田山の西麓に出でる「酸ケ湯温泉」は、およそ300年も前の江戸時代から続く湯治宿。昭和29年(1954)には国民温泉第1号の指定を受け、「雲上の霊泉」と称されるほど温泉の恩恵を人々にもたらしてきました。
昔ながらの木造の大浴場は、総ヒバ造り。「ヒバ千人風呂」というように、その広さはなんと160畳。「熱の湯」「冷の湯」「四分六分の湯」「湯滝」を一堂に見渡す湯屋は、まさに圧巻。硫黄の香り漂う青白い濁り湯は、じんじんと体の奥から温まっていくのが分かるよう。湯治は一般に「3日1廻り、3廻り9日」といわれ、館内には「療養相談所」も設けられています。上手に温泉と付き合い、効果的な入浴法で体を癒す。本格的な湯治体験ができる数少ない温泉です。

温泉の蒸気が流れる木箱に腰掛けて尻部を温める「まんじゅうふかし」

男性用と女性用の小浴場は、洗い場がついた一般的な造り。ちなみに湯治では、石けんは不可。せっかく体に染みた温泉成分を洗い流さないこと


(上) 秋には紅葉、冬にはスキーと八甲田山の四季を楽しむ観光拠点にも便利。八甲田山ロープウェイや八甲田山スキー場まで車で約5分
(左) 付近は手軽な散策コース。硫黄の香りに誘われて歩けば、湯気が立ち上る「地獄沼」にびっくり。沼に湧き出る温泉は98度もあり、夏場でも湖面は白く煙るほど。