
山形
食事処 香味庵まるはち
「漬物の老舗が伝える
山形の涼文化」
東北の中でも厳しい夏の暑さで知られる山形県。その暑さを逆手にとった独自の涼文化が受け継がれている。最近はラーメンに氷を入れたり、蕎麦を冷たいスープに合わせたり、さまざまな新機軸が生まれているが、山形の涼文化の代表格といえば郷土料理“だし”であろう。よく冷やした夏野菜を細かく刻んでつゆで和えただけのもの。しかし、これがたまらなく旨い。豆腐との相性も絶妙で、ビールのお供としても申し分ない。
このゴールデン・コンビの妙を味わいたくて、山形を代表する漬物の老舗『丸八やたら漬』が営む『香味庵まるはち』を訪ねた。創業100年余の歴史ある蔵を改装した座敷にどんと胡坐(あぐら)をかくと、冷たい床が心地いい。
注文したのは粘り気のある『だし冷やっこ』。軟らかい豆腐の上に、一見なんだかわからない“だし”がこぼれ落ちそうに乗っている。サクサクのキュウリとナス、シャキシャキのネギ、ツンとくるミョウガ。さまざまな味と風味と食感が口の中で重なり合い、のどを喜ばせる。具材を麗しくまとめ上げるのは、磯の香りを放つ『なっとう昆布』だ。その余韻が消えぬうちにビールを流し込み、ぷは~っと息をつくと、さっきまでの汗はどこへやら。
こんなに美味しいハーモニーを楽しめるなら、暑い夏も悪くない。いや、大歓迎!


山形
食事処 香味庵まるはち
- TEL
- 023-634-4108
- 営業時間
- 11:30~14:00(OS)、17:00~20:30(OS)
- 定休日
- 第1水曜
※記載内容はFDA機内誌「DREAM3776」Vol.16号(2016年7月発行)掲載時のものです。