


煉瓦(れんが)造りの建物をこよなく愛する者にとって、札幌は宝箱のようなもの。市中心部に建つ、アメリカ風ネオ・バロック様式のおしゃれな「北海道庁旧本庁舎」は、通称「赤煉瓦」。明治21年に建築された庁舎には、250万個以上にもおよぶ白石・豊平産のれんがをはじめ、建築資材のほとんどに道産のものを使用したというこだわりさえも美しく目に映る。3連アーチの窓や二重窓など、ハイカラな時代にタイムスリップしたよう。
道庁の敷地を通り、JR函館線のガード下をくぐると、「北海道大学の南門」が待っている。そして忘れてならないのが、赤煉瓦の煙突がそびえ立つ「サッポロビール園」。煉瓦造りの数々をめぐれば、時代を越えて旅する楽しみは尽きない。


アーチ型の窓やエントランスの柱など、ハイカラなフォルムが華やかなりし明治時代を物語る。フランス積みという煉瓦の積み方も珍しくてツボにハマる


(上) 正面から入ると美しいアーチを描く階段が出迎えてくれる。重厚な趣きの館内は、さながら映画の世界に迷い込んだよう
(左) 門柱には「北海道庁」の文字。この他、「北海道立文書館」や現北海道庁舎の前身で明治12年に焼失した国指定史跡「開拓使札幌本庁舎跡」も見どころだ