


「毛越寺」は、「中尊寺」と同じく平成23年に、世界遺産に登録されました。今から千年以上前に開山し、藤原基衡公、秀衡公の二代にわたり繁栄を極め、最盛期には40の堂塔が建てられていたといいます。度重なる火災により建物は全て焼失してしまいましたが、浄土を表現したという浄土庭園は、今も健在。
庭園の中心は勾玉状の「中島」が鎮座する「大泉が池」。池の周辺にある石組みはそれぞれ「州浜」、「築山」、「出島」、「遣水」など海辺や渓谷を意味しており、全体で「大海」が表されています。往時は、「塔山」から湧き出る独鈷水(どっこすい)が遣水を通じて“海”へと流れるという、地形を活かした自然の縮図は「毛越寺」独特のものであり、他に類を見ません。平泉の自然あってこその浄土庭園を歩けば、すっと身が清められるようです。


「毛越寺」では、年間を通してさまざまな祭りが催される。5月に行なわれる「曲水の宴(ごくすいのえん)」では、平安時代の華やかな貴族の宴が現代に蘇る


(上)平成元年に建立された「本堂」。平安時代に作られた薬師如来が安置されている。所要時間60分~90分ほどで写経や座禅を組むこともできる。写経1,000円、座禅200円(10名以上)
(左) 入口から入ってすぐ左側にある「宝物館」。平安時代の仏像や書籍、発掘遺品などが展示されている。重要文化財に指定されている鉄で作られた工芸品「鉄樹(てつじゅ)」を見ることもできる