出雲 松江城



青いお濠に美しい影を落とす「松江城」は、山陰地方で唯一、慶長16年(1611年)の築城時の姿を今に伝える城です。平成27年(2015年)には、待望の国宝指定を受け、全国から多くの人々が足を運んでいます。おおらかに積み上げられた石垣は、穴太衆(あのうしゅう)と呼ばれる腕利きの石工たちが約3年の月日を掛けて造り上げたもの。自然石の多彩な表情が趣を添えた風情ある石垣です。場内では、防火防腐のために厚さ約10cmもの桐の板を使った階段や、柱に板を貼り、鎹(かすがい)や鉄輪(かなわ)で留めた「包板」など、他の城にはない様式を見ることができます。天守を仰げば、敵を攻撃する「狭間」(さま)や石落としが備わっており、戦術を読み解くのもおもしろいものです。


鉄砲や弓矢で攻撃するための「狭間」のほか、外壁が黒い下見板張りであることからも、実戦を想定した造りであることが分かる


(上)「包板」は、一説によると、ひびが入るなど傷のある建材を用いるために生まれた技法だとか。国宝指定時には高く評価された
(左)二の丸に鎮座する「松江神社」。本殿や拝殿、手水舎は1600年代に造られたものだとか。 ご祭神の松江藩主・堀尾吉晴公などに手を合わせ、いざ場内へ