出雲 石見銀山



島根県のほぼ中央に位置する石見銀山は、鉱山遺跡としてアジアで初めて登録を受けた世界遺産。製錬工房の跡や間歩(まぶ=坑道)だけでなく、町や街道、港など、さまざまな資産で構成されています。およそ600カ所もの間歩が確認されている中で、現在公開されている間歩のうちのひとつが「龍源寺間歩(りゅうげんじまぶ)」。入口には鉱山の土壌を好む“ヘビの寝御座(ねござ)”と呼ばれるシダが茂り、山師たちはこのシダを指標に鉱脈を探し出したのだそう。岩盤をノミで削った跡がそのまま残り、往時の採掘の様子が目に浮かぶようです。周辺は、古い町並みが続く絶好の散策スポット。代官所跡などの伝統的建造物のほか、古民家カフェなども楽しみの一つです。


銀と銅を産出した「龍源寺間歩」。人夫たちが手彫りで掘削する際には、サザエの殻に油を入れて、明かりを灯し、1日に約30cmしか掘り進むことができなかったという


(上)明治時代に操業された近代の産業遺産「清水谷製錬所跡」。谷の斜面に石垣で9段の平地を築き、江戸時代の坑道を活用した巨大な精錬所は、技術者たちの知恵と先進技術の結集だった
(左) 「石見銀山世界遺産センター」に駐車したら、バスで「大森」へ。レンタサイクルを利用するのがおすすめ。帰りに周辺のレトロな街並み散策を楽しもう