山形うまいものと地酒
母家（まざーはうす）

庄内地方に春を告げるサクラマス。幼魚期の1～2年を川で過ごした後、日本海に下って荒波の中で育ち、春の訪れとともに再び川を遡上する高級魚だ。この魚を目当てに訪れたのは、JR山形駅から七日町方面へタクシーで1メーターの場所にある『母家』。中心街を離れた立地だが、店主が独自に開拓したルートを通じて仕入れる地元の旨い食材がそろうと評判の店だ。

さぁて今が旬のサクラマスは、シンプルに塩焼きでいただくとしよう。ふくよかな身は、驚くほど軟らかい口当たり。適度な塩気と香ばしい皮目、脂の旨さも相まって第一印象は極めてよし。「ぜひ同じ庄内のお酒を」と勧められるままに酒田の銘酒『上喜元』の冷やを合わせると、旨味が一層際立った。

こうなったら言われるがまま身を任せよう。どんどん旨いの出しとくれ。

日本海育ちのタイは藻塩を添えてお造りに。厳冬の海を乗り越えた身は歯応えよく、淡白ながら滋味深い味わい。『タイの刺し身』980円～。

郷土料理を中心に旬の味を楽しめる地元の人気店。『十四代』を筆頭に地酒は常時10種ほどそろう。季節の限定酒も入れ替わりで登場。