新洋食 KAZU

北海道随一の繁華街すすきのに、“冷やっこい風”が吹いたら要注意である。寒風は、道産の魚介に脂がのりはじめる食祭の合図。熱々のスープとワインで冬の到来を祝うとしよう。

南一条通から小走りにビルの地下へ急ぐ。実はあまり人に教えたくない個性的な洋食の店がある。『新洋食 KAZU』。道産の食材を自在に操るシェフの腕は半端じゃない。さらにお値段は超がつくほど良心的。こういう店、滅多にお目にかかれない。

まずは定番のクラムチャウダーをひとさじすくってゆっくりと味わう。カツオだし、アサリの旨味が毛細血管の隅々までゆきわたる（ような気がする）。香ばしいチーズのアクセントも、いい。道産食材の底力なのか、シェフの魔法なのか。思わず一杯のスープを凝視し、またひと口。うーん、旨い。旨すぎる。

こちらの感動をよそに、厨房でフライパンを振るシェフは涼しい顔だ。

こうやってカウンター席に座り、シェフの鮮やかな手際を眺めながらワインを傾ける時間が妙に心地いい。

料理を見ていると、また腹が鳴るけどね。

サクサクのパン生地を割っていただく道産タマネギの甘味がギュッと詰まった『グラタンオニオンスープ』。

道産ホッケの『カツレツ トマトソース』。旨い！

定番『デミグラスハンバーグ』も人気。