安曇野 翁

北アルプスは清らかな伏流水の源。この大地から流れ出る水が、蕎麦を、つゆの決め手となる醤油の原料、大豆を育んでいる。
「北アルプスを眼前に
極上蕎麦をすする贅沢」
長野県と隣り合う二県にまたがる飛騨山脈、通称“北アルプス”。その壮大なスケールは文字通り日本離れしているが、御膝元にある安曇野市は日本人のソウルフード、蕎麦の一大産地である。この地に壮観な山々を眺めながら蕎麦をいただける名店があると聞いて、車を走らせた。
松本空港から車で約40分。小高い丘の上に『安曇野 翁』はある。平屋造り風の店内に入ると、雄大な北アルプスの近景が目に飛び込んできた。美しく切り取られた風景に、しばし言葉を奪われる。もちろん、特等席に陣取った。
『安曇野 翁』の蕎麦はすべて手打ちだが、白くて細い“ざるそば”と黒くて太い“田舎そば”の2種類から選べる。蕎麦本来の味を楽しむなら、やはり“ざるそば”だろう。コシが強く、噛むたびに蕎麦本来の持つ風味と味わいがのど越しに広がる。北アルプスの伏流水を使い、枕崎の枯本節で取っただしと、松本の『大久保醤油』で取った返しを合わせたつゆには切れがあり、蕎麦が持つ甘味を際立たせている。
食後にトロトロの蕎麦湯を飲みながら、北アルプスを仰ぎ見て思う。
は~、日本人に生まれてよかった!

国産合鴨の脂と旨味がとろけたつゆがシンプルな蕎麦に合う『鴨せいろ』1,400円。

細く切り分けていく手捌きも美しい。蕎麦打ち名人・高橋邦弘氏の一番弟子として『翁流』という蕎麦打ちの流儀を継承している。

玄蕎麦を皮ごと挽いた蕎麦粉で打つ『田舎そば』865円は、本来の蕎麦の味を楽しめる。

行列必至の人気店だから開店直後の時間帯を狙いたい。
住所 | 長野県北安曇郡池田町中鵜3056-5 |
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TEL | 0261621017 |
営業時間 |
11:00~15:00 (蕎麦がなくなり次第終了) |
定休日 | 月・第3火曜(祝日の場合は翌日) |
※記載内容はFDA機内誌「DREAM3776」Vol.15号(2016年3月発行)掲載時のものです。