ささ屋

種類豊富なおでんの鍋を眺めて、食べたいネタを選ぶ。一番人気はトロトロの“すじ肉”。値段は全て1本120円で、タコだけは1本500円。
「酒は持ち込みで。
小倉の人情おでん屋台」
福岡県北九州市の小倉エリアに、昔から続く名物おでん屋台があるという。偶然見つけて一杯やろうと声を掛けたら、「飲みものは置いとらんよ~。自分で買ってきて~」と、女将さん。店に酒を持ち込むという行為は、なぜだか呑み助の心をくすぐる。さっそく近くのコンビニで缶ビールとカップ酒を買って、コの字のカウンターに腰を下ろした。
大鍋の中には、ヒタヒタのだしにびっしりとおでんが浮かんでいて、そこから湯気が立ち上る風情がなんとも温かい。缶ビールを呑もうとすると、女将さんが貸してくれたのが旧いカップ酒のグラス。シブい。ここではカップ酒(のグラス)で呑みながらおでんネタを選んで食べるのだ。
長年継ぎ足しながら守られている秘伝のだしは、色こそ濃いが、意外にあっさりしていて滋味深い。親身に作られたものはしみじみと心に沁みわたる。
ふと脇を見ると、ショーケースの中に場違いとも思える手作りおはぎが……。「昔はコンビニや深夜までに開いているお店もなかったろ。夜中に甘いもんば食べたい人のために、小倉の屋台ではみんながおはぎを出しとったとよ。それが今も続いとると」と大将。なるほど。優しい人情から始まった習慣が風雪を耐え、ここの名物になったということか。
おっとっと。長居はせずに次の人に席を譲るのが屋台のたしなみ。せいぜいお酒2~3本が頃合いだろう。
また来ます!

女将さんが毎日手作りするおはぎはお持ち帰りする人も多く売り切れ必至なので、席についたらまず“おはぎのキープ”を。

屋台の醍醐味は知らない人と肩を寄せ合う距離感。「一杯、どうですか?」と、隣からおすそわけが入ることも。
住所 | 福岡県北九州市小倉北区香春口1-3-5-1 |
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TEL | 080-1542-6410 |
営業時間 |
18:00~24:00 |
定休日 | 第1・3・5・日・月曜、第2・4月・火曜 |
※記載内容はFDA機内誌「DREAM3776」Vol.13号(2015年3月発行)掲載時のものです。