お料理 菜のはな

18歳から料理ひとすじ、店主の野呂裕人さん。
「料理人の手わざを肴に
一献、また一献と杯を傾ける夜」
本州最北端の青森は優れた食材の宝庫だ。その食材に、腕利き料理人の手業が加わるとどうなるのか。答えを探しに、みちのくへ旅に出た。訪ねたのは『お料理 菜のはな』。青森の旬に京の風情を盛った料理は繊細にして雄弁で、地元の常連客でさえ来るたびに感嘆するという料理人の“技”が光る店だ。
前菜は、タコの桜煮、ユリネのごま和え、旬のナマコ酢による競演。そして青森に春を告げるトゲクリガニ、ヤリイカの活き造りと続き、卓上は春が咲き誇ったようなにぎわいを見せる。店主曰く、「基本はシンプル。お客様からは創作料理といわれることもありますが、自分は地元の食材で郷土料理を作っているつもりなんです」。
訊けば、その土地でとれた食材をその土地の料理方法でいただく“地産地消”ならぬ“土産土法”というスタイルなのだとか。侘びさびの境地を説いた千利休の命日、“利休忌”の茶花“菜のはな”に由来する店名にも主人の想いが込められている。
青森の食材から生まれる現代の郷土料理は心に沁みる。料理人の手わざを肴にゆるり過ごす夜は心地いい。

透明に輝くヤリイカの活き造りはショウガしょうゆかゴマ塩で。

青森ならではのトゲクリガニは例年6月まで食べられる。

コース料理はおひとり6,000円~。

刺し身は陸奥湾のヒラメと赤貝。

住所 | 青森県青森市本町5-4-20 |
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TEL | 017-775-7265 |
営業時間 |
18:00~22:00 |
定休日 | 不定 ※事前予約がおすすめ |
※記載内容はFDA機内誌「DREAM3776」Vol.15号(2016年3月発行)掲載時のものです。