出雲 てれすこ

「ノドグロの生干し」。皮はバリっと焼かれ、中はふっくらとしていて、濃縮された旨味と脂が地酒に合う。ノドグロは、刺し身や塩焼き、煮物でもいただける

　島根県松江市の繁華街にある昭和47年創業の「郷土料理てれすこ」は、昭和の風情が漂う横町の路地に佇む郷土料理の店です。酒場情緒たっぷりの看板を掲げた店内に入ると、カウンターには大皿が！日本海や宍道湖（しんじこ）で採れる地元ならではの新鮮な魚介や旬の野菜、お総菜が色よく盛られ、生き生きとした食材を目の前に何を食べようかと目移りするほど。島根は、海、川、山のさまざまな素材がそろう食の宝庫です。にこやかなご主人に相談しながら、食べたいものをその都度選んでいただけます。

「オコゼの刺し身」。美しい透明な身はコリコリとして、ほのかな甘みがある。肝と胃袋、皮までいただける。刺し身で食べたアラは、空揚げに。サクサクとして美味

　寒流と暖流がぶつかる山陰沖の日本海は、豊富な栄養を含み海の幸に恵まれています。中でも、「ノドグロ」は白身の魚でありながら、上品な脂をたっぷり含む高級魚。生干しをいただくと、味がギューッと凝縮された身は、ふっくらとしていて柔らかく、身をそっとはしでおさえると脂がジュワーとにじみでてきます。甘い脂が舌にまとわり付き、とろけるような旨味。島根の地酒「豊の秋」をチビリチビリといただきながら骨をつつけば、それはもう極上の肴です。他にも、「カメノテ」などの珍しい貝類のお料理も楽しめます。