岩手 三陸居酒屋きりや 中ノ橋店

活ホタテを貝殻の上で焼いて、三陸のワカメとともにいただく「浜焼き（時価）」も人気。シンプルなメニューだからこそ、素材の持ち味をじっくりと味わうことができる

　花巻空港から車で約40分、オフィス街の一角にある「三陸居酒屋きりや」は、新鮮な魚介が味わえると地元でも評判の店です。「私の故郷・洋野町の種市でその日水揚げされたものを、毎日のように自分で運んでいるんです」とはご主人の談。“三陸直送”“新鮮”とはよく聞くものの、主人自らハンドルを握り、片道2時間半かけて運んでくるという鮮度の極みは、漁港でもない限りなかなかありつけません。希少な種市産ウニや天然ホヤ、生ホタテなど、「わざわざ訪れる価値あり」と言えるほど、新鮮な魚介でもてなしてくれます。

イボが大きく、根が短いのが天然ホヤの証。写真は5年物。他の地域で見るホヤよりも、大きく臭みが全くないのが特長だ。この他、「天然ホヤの姿焼」もあり

　この店でぜひ食べてほしい一品は、天然ホヤの刺し身です。種市では、潜水士が深海20～30mほどの海底に潜り、手づかみで捕るのだそう。4月から12月の間は水揚げされますが、特に旬といわれるのが6月から9月にかけて。この時期のホヤは特に大きく、透明な身がその鮮度を物語ります。刺し身でいただくと、ふわりと海の風味がした後に特有のほのかなエグみと苦みがパッと広がり、その後味がビールや日本酒を誘います。「ホヤが苦手」という人も、きっとこの刺し身を食べればホヤ好きになるというほどのとっておきの味わいです。