福岡 八千代丸博多駅前店

“活きオコゼとウチワエビの造り”。若者の魚離れを止めたいと話す大将。本物の魚の味を伝えるため、仕入れは信頼する漁師から

　博多駅から徒歩5分の「八千代丸博多駅前店」。大漁旗で彩られた店内は活気にあふれ、1階の大部分を占める生簀には、鯛、アラ、ヒラメ、伊勢海老など。眺めれば自然と食指が動きます。365日ひとときも魚のことが頭から離れないという元・漁師の大将は、生簀を載せたトラックに乗り、毎朝九州各地へうまい魚を求めて赴くそう。魚に対して並々ならぬ情熱を注ぎ、提供のタイミングにもこだわります。「天然物は新鮮なうちに、養殖物は少し熟成させてから」と、その魚介が最もおいしい状態でいただけます。

イカの顔にレモンを絞ってみるとクネクネ動くのも新鮮な証。最後は、ゲソを天ぷらにしてもらい、ありがたくいただいて完食

　店一番のお勧めは、ヤリイカの活き造り“博多一本槍”。日本屈指の漁場である玄界灘の荒波に揉まれた、活きのいいヤリイカを釣り上げたものです。イカの繊維は細かいのでストレスに弱いそう。そのため、細心の注意を払って仕入れ、店の生簀に放します。先ほどまで、悠々と泳いでいたせいか、出てきた刺し身は透きとおり、キラキラと輝きを放っています。九州の甘めの醤油に付けて、口に入れるとコリコリと甘く、いつまでも噛んでいたいと思ってしまうほどです。大将の男気溢れた店で、玄界灘の魚を食しながら過ごす博多の夜は熱くふけていきます。