青森 小料理 なかや

「伝宝焼」550円。レモンをしぼって、あっさりといただくとまた一味違うおいしさ。郷土料理だけに、青森では店舗ごとにさまざまな味を楽しめる。

　青森市街のにぎわいから、小路に一歩入るとまるで下町のような佇まい。その一角に地元の旬の味覚を上品な料理に仕立てる「小料理 なかや」があります。カウンターにずらりと並ぶ海の幸の数々。手書きのボードに書かれたお薦めの一品のほかにも、一番おいしいものを見つくろって出してくれる。まるで常連さんになったかのような心地よさ。地元の人も一押しの「伝宝焼」は、ホタテの貝殻にホタテの切り身をはじめ、野菜をたっぷり乗せてこんがり焼いた青森の郷土料理。しょう油とマヨネーズの風味はご飯との相性抜群。ついお代りしたくなる一品です。

「ホヤの刺身」400円。シャキシャキとした食感と苦みが後を引くおいしさ。郷土食材「ミズ」をさっと湯がいて添えた青森ならではの一品。

　常連さんはもちろん、県外から来たお客さんを連れてくる人も多く、思い思いに珍しい青森の味を楽しみます。海のパイナップル・ホヤは、東北ならではの食材の一つ。新鮮なホヤは刺身や酢の物にしていただくと、独特の風味もほどよく味わえるとか。歯触りのよい食感と後味に残るほのかな苦みは、酒によく合う大人の味わいです。また、大将手作りのイカの塩辛も肴にぴったり。イカの肝で和えてユズの香りを添えた塩辛は、濃厚な肝の旨みを堪能できます。見知らぬ人と語らいながら杯を酌み交わすのも、旅の醍醐味です。