田村 優樹
一便に込めるエンジニアの誇りと執念。
定時運航日本一を支える、妥協なき探究心。
2023年度の定時運航率で日本一に輝いたFDA。その揺るぎない信頼を技術面から支えているのが、エンジニアの田村優樹です。
航空未経験の新卒入社ながら、コンパクトな組織ならではの大きな裁量を糧に、機体構造のスペシャリストへと成長を遂げました。
一秒を争う現場において、安全性と定時性を高い次元で両立させるための「最適解」を導き出す。
彼の飽くなき探究心と、理想の空を追求する技術者としての誇りが、日本の空の信頼を今日も支えています。
期待以上の大きな裁量。
私は大学を卒業後、航空系の専門知識や経験を持たない状態でFDAに新卒入社しました。入社前から、コンパクトな組織ならではの裁量の広さに期待していましたが、実際に働くと、その範囲が予想をはるかに超えていたことに驚きました。大手では細分化される業務も、FDAでは自分一人で完結させる形が多く、技術者として手広く、深く任せていただける。これが私が求めていた「成長環境」です。未経験でのスタートでしたが、不安はありませんでした。整備部門に配属されてから最初の3ヶ月間は飛行機のシステムや構造を体系的に学ぶ座学研修があり、しっかり基礎知識を身につけてから実務に取り組めました。いきなり現場に放り込まれるのではなく、万全の体制でエンジニアとしての第一歩を踏み出せたのです。現在は整備技術部門で、機体の構造や与圧システムに関する技術業務を担当しています。
FDAの定時運航日本一を支える、エンジニアの腕の見せ所。
私たち技術部門が何よりも意識しているのは、「お客様に迷惑をかけないこと」です。定時運航率日本一を支える大きな要因は、「安全を担保した上で、まずは飛行機を飛ばす」というFDA独自の迅速な判断方針にあります。飛行機に不具合があっても、安全性に影響がない範囲で一時的に運航を継続できる「許容値」を最大限に活用し、「安全を確保した上でまずは目的地まで安全に運航し、基地に帰ってきてから修理を行う」という体制を確立しています。この迅速な判断と行動こそが、お客様のフライトへの安心感と定時性を守る鍵です。不具合は突発的ですが、整備士と連携していかに早く運航に戻すかを考えるのは、技術者としての腕の見せ所であり、醍醐味です。例えば、機体が雷に被雷した際など、次の朝までに飛ばせるよう夜通しで点検・作業を行うこともあります。大変な作業を終え、お客様を乗せて飛行機が飛び立っていく姿を見たとき、大きな達成感と、社会のインフラを支えているという誇りを感じます。
Question仕事のことや気になるポイントを聞きました
元々、幼少の頃から飛行機が好きで、将来は必ず航空業界で働きたいという強い思いを持っていました。その中でフジドリームエアラインズを選んだのには、地域的な縁が深く関わっています。
私は石川県出身なのですが、FDAが就航開始当初に、地元と静岡を結ぶ路線(小松-静岡線)を運航していたことを記憶しており、地域との関わりを強く感じていました。その後、大学進学で静岡へ移り住んだこともあり、FDAに対して、地域に根差した企業として非常に親近感を持っていました。
当時の先輩や同僚もFDAに入社しているという話を聞いていたことも、心強かったです。フライトの安全を最前線で支えるという仕事を通じて、地元に貢献したいという思いが強くなりました。
飛行機への情熱と、地域貢献という二つの要素が合致し、数ある航空会社の中からFDAへの入社を決意した最大の理由となりました。
FDAの魅力は、何と言っても「一人ひとりが持つ裁量の広さ」に尽きます。
大手航空会社の場合、技術部門でも一つのテーマに対してチームで取り組み、個人の担当範囲が細分化されるため、どうしても自身の意見やアイデアを反映させる機会が限られがちです。しかし、FDAは比較的コンパクトな組織であるため、技術的な課題解決や改善提案の多くを、基本的に個人で責任を持って完結させる形になります。
もちろん、整備士や運航部門との連携は不可欠ですが、プロジェクトの設計から実行まで、自分で進められる。この環境は、若手エンジニアにとっては非常に大きな成長機会です。
自分で「こうした方が良い」と考えたアイデアや効率化の提案が、社内でスムーズに伝わり、すぐに業務に反映されていく。この直接的なフィードバックのサイクルこそが、他の会社ではなかなか経験できない、仕事の大きな面白さであり、自身の成長を実感できるポイントだと感じています。
航空系の専門的な勉強をせずに入社した私にとって、日々の業務は新しい発見の連続です。最初は不安もありましたが、座学研修で飛行機のシステムを基礎から学べたことで、着実に知識を蓄積できました。
現在は機体構造を担当していますが、常に意識しているのは「未知の不具合」に対する探究心です。
FDAは就航から15年以上が経過し、これまで経験したことのないトラブルに直面する場面も増えています。そうした前例のない課題に対し、蓄積されたデータを汲み取り、どうすれば、安全性と向上性を向上させられるかを考えることに、エンジニアとしての面白さを感じています。
私たちの部署には、一つのことにのめり込むタイプや、多くのタスクを器用にこなす人など、多様な個性が集まっています。それぞれが「飛行機を良くしたい、安全なフライトをお客様にご提供したい」という熱い思いを持ち、異なる強みを出し合うことが組織の力になります。専門外の出身だからこそ、既成概念にとらわれず、探究心を持って挑み続ける姿勢を大切にしています。
海外の航空機メーカーさんや部品サプライヤーさんとの技術的なやり取りでは、専門的な内容を英語で伝える必要があり、細かいニュアンスが正確に伝わっているか不安になることが多々あります。そこで、私が特に工夫しているのが、図や写真といったビジュアル情報を積極的に活用することです。
私は図を「全人類共通で理解できる言語」であると考えており、複雑な構造や現象を図に起こすことで、言語の壁を越えてスムーズな意思疎通を図っています。これは社内でも同様で、整備士の方々はシフト勤務で入れ替わるため、情報の欠落やミスを防ぐために、不具合の状況や修理後の状態を写真や図で残すことを徹底しています。
さらに、パイロットの方々に対しては、万が一トラブルが発生した際の共通認識を持つための対処法マニュアルを共同で作成するなど、他部門と連携して安全性を高めるための資料作りにも力を入れています。
私がプロのエンジニアとして最も大切にしているのは「飛行機は完璧ではない」という現実を深く理解し、常に不具合が起きた後の対応策を考え続ける姿勢です。
どんなに優れた機械でも、不具合を完全にゼロにすることは難しいです。そのため、整備部門としての仕事は、いかに発生した不具合に対して迅速かつ安全に対応するか、という点に集約されます。
今後同様の不具合が発生した時にお客様への影響を最小限に抑えるため、「安全を担保した上で、まずは運航の継続を優先する手段(一時的なソフトウェア的な対策)」を講じ、その後に根本的な「恒久対策(ハードウェア的な対策)」を練るという二段階のアプローチを徹底しています。
突発的なトラブルに対し、飛行機を安全かつ迅速に運航へ戻すための手段をいかに多く作るか。そしていかに不具合を起こさないように対策をとるか。これは、経験や知識だけでなく、常に危機意識を持って臨む心構えが重要であり、お客様の信頼を裏切らないためのエンジニアの責任だと考えています。
エンジニアとしての1日の流れは、運航状況によって大きく変動するため、決まったルーティンワークはほとんどありません。基本的には9時に出社し、午前中は前日の不具合に関するレポートチェックや、今後の整備計画に関する書類作成、あるいは他部門との連携会議などのデスクワークを行います。
しかし、飛行機の運航中に突発的な不具合が発生した場合、スケジュールは一変します。不具合の内容によってはすぐに現場へ向かい、整備士と連携しながら、実際に飛行機のそばで現象を確認します。そこから、技術的な専門知識を駆使して、安全性を確保しつつ、いかに早く運航に戻すかという対策や修理方法を考えます。
この「決まった流れがない」という点が、エンジニアの仕事の特徴であり、常に臨機応変な対応と、緊張感を持って臨む心構えが求められる理由でもあります。日々の準備と知識のアップデートが不可欠です。
エンジニアとして目指している個人的な最大の目標は、新しい機体の受領検査(新造機の受け取り)に行くことです。これは、整備士と整備技術部門の中でも、特定の経験と知識を持った限られたメンバーしか担当できない、非常に専門性が高く、かつ会社の将来に関わる重要な業務です。
この目標を実現するためには、まず日々の業務を通じて、現在の保有機における不具合発生率を徹底的に下げ、会社として飛行機を増やしていくための安定的な体制を築く必要があります。そこに自分が技術的な面から深く関わっていきたいと考えています。
また、FDAの機材も長期運用に入ってきています。今後は蓄積されたデータや経験を活かし、これまでのマニュアルにはない「未知の不具合」にも対応できる、一歩進んだ技術力と知見を蓄積していくことが、FDAの未来の安全運航を支えることに繋がると確信しています。
常に探究心を持ち、技術面から会社を牽引する存在になりたいです。
エンジニアには、特定の性格やスキルだけが求められるわけではありません。むしろコンパクトな組織だからこそ、多様なバックグラウンドを持つ個性が集まることが、技術的な問題解決において強力な力になります。
その上で重要だと感じるのは、「飛行機が好きで、自分の手でより良くしたいという強い情熱」です。私たちの仕事は地道な点検や複雑な原因究明の連続であり、そのモチベーションを支えるのは、やはり飛行機に対する純粋な思いだと感じています。
今後は機材の経年に伴い、前例のない「未知の不具合」に直面する機会も増えるでしょう。そうした問題に対し、マニュアルをなぞるだけでなく「なぜ」を深く掘り下げる探究心を持って、主体的に取り組める仲間が必要です。
自らの技術で安全を形にする喜びを共有できる方と、ぜひ一緒に働きたいと考えています。