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運航乗務員による乗務前のアルコール検査等の未実施事例の報告について

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先般発生した運航乗務員によるアルコール検査等未実施での運航開始事例について、国土交通省東京航空局へ、調査分析結果および再発防止策を報告いたしました。報告概要は以下の通りです
当該便にご搭乗されたお客様ならびに関係者の皆様に大変ご迷惑をおかけしましたことを、改めて深くお詫び申し上げます
弊社といたしましては、本事象を重く受け止め、同様の事象が発生しないよう再発防止に努めてまいります

1.事例の概要

2019年2月1日(金)、弊社305便(定刻 名古屋小牧 11:45発=福岡 13:20着)において、当該便に乗務した運航乗務員(副操縦士1名)が、アルコール検知器を使用した検査等を実施せずに乗務した

2.経緯

(1) 本事例発覚の経緯
乗務管理担当者が、当日14時頃、クルーオーダー(注)において、当該副操縦士の乗務前のアルコール検査を含む一連の点検結果および立会者の署名がないことを発見した。運航乗員部長が、305便の乗務を終え、福岡のホテルに滞在中の当該副操縦士に連絡し、アルコール検査およびクルーオーダーにおける一連の点検を実施していなかったことを確認した
(注)
当日の乗務スケジュールや資格等の情報に加え、出頭時に確認すべき事項を記したチェックリスト。乗務前に、第三者の立会いのもとでアルコール検査を実施し、実施済のチェックマークと立会者の署名を記入するほか、技能証明等の携帯状況等についても点検し、チェックマークを実施することとしている。本件の場合、これらすべての記録がなかった
(2) アルコール検査等未実施の経緯
副操縦士は、当日の出頭時刻の約1時間前に出社し、前月の勤務実績の印刷や過去の飛行データ解析の確認などを実施した後、航務カウンターに出頭。305便では機長の交代がなかったため、ひとりでセルフブリーフイング(航務カウンターのコンピュータを使用して実施する気象情報等の乗務前確認)を実施した。その際に、第三者の立会いのもとで実施すべきアルコール検査および技能証明等の携帯状況等の点検を失念した
副操縦士は、その後305便に搭乗し、機長から健康状態について聞かれたものの、機長のほうも、アルコール検査の実施について明示的に確認することを失念していたため、気づくことはなかった
副操縦士は、305便の乗務を終え、福岡のホテルに滞在中に運航乗員部長からの連絡を受けた時点で初めてアルコール検査等の未実施について認識するに至った
なお、当該副操縦士については、ただちに福岡空港支店の航務部門に出頭させ、航務部門担当者の立会いのもと、アルコール検知器による検査を実施して、呼気1リットルあたりのアルコール濃度が0.00mg/ℓであることを確認した
また、その後実施した運航乗員部長による聴き取りの際に、必要な技能証明等についても携帯していることを確認した

3.推定原因

(1) 当該副操縦士は、出社後、乗務前に他の業務を行っている間に、アルコール検査およびクルーオーダーにおける一連の点検を実施してしまった錯覚(思い込み)に陥った可能性が考えられる
(2) アルコール検査には第三者の立会いを求めているが、乗員からの要請に基づき立ち会う手順のため、会社は、運航前のアルコール検査実施漏れに気づかなかった
(3) クルーオーダーにおける一連の点検についても、乗員主導で実施しており、乗務管理グループによる記録の確認は一日の終業時であるため、会社は、乗務前に未実施の発見には至らなかった
(4) 通常の乗務であれば、2名の乗員が一緒にアルコール検査を受け、かつ乗員の相互確認により検査漏れを運航開始前に発見できるが、本件不具合が発生した305便は、イレギュラー等で乗務割が変更になり、一人で出頭したため、こうした相互確認も機能せず、また、搭乗後、操縦室で機長に合流後も、機長から健康状態の確認は受けたものの、単独でアルコール検査を実施した場合の確認手順を失念したことから、ここでも発見されることはなかった
(5) クルーオーダーにおける一連の点検については、確実を期すため運航乗務員による相互確認を求めており、相互確認が実施できない場合は地上運航従事者等第三者に確認を求めるよう指示しているが、乗員主導であることから、漏れてしまった。また、操縦室内での相互確認まで想定した手順になっておらず、機長と合流後にも、発見には至らなかった
(6) 当該副操縦士は、アルコール検査の重要性について理解していたものの、ほとんど飲酒習慣がないため、周知文書や意識啓発教育の内容が十分に伝わらず、そのことが今回の失念につながった可能性がある

4.問題点

(1) アルコール検査の実施およびクルーオーダーにおける一連の点検が乗員主導になっており、乗員が実施を失念する場合を想定したしくみが構築されていなかった
(2) イレギュラー等で乗務割が変更になり、乗員が2名一緒にアルコール検査を受けられない場合における乗務前の相互確認手順(機長による確認行為)が周知徹底されていなかった
(3) クルーオーダーにおける一連の点検についても、乗員による相互確認を求めており、相互確認ができない場合には、地上運航従事者等による第三者確認を求めているが、この手順についても周知徹底されていなかった。また、地上運航従事者等による第三者確認が漏れる事態も想定されるため、操縦室における相互確認の必要性について検討する余地がある
(4) 飲酒習慣のない乗員は、アルコール検査に対する意識が希薄になる可能性があるため、飲酒のリスクよりも、アルコール検査の必要性に重点を置いた意識啓発が重要であるが、現在実施している意識啓発教育や周知文書は、飲酒習慣があることを前提とし、飲酒のリスクに重点を置いた内容になっている
(5) 機長の健全性判断を行うのが遅くなり、乗務停止にするまで、計7便飛行させてしまった

5.再発防止策

(1) 当面の対策として、乗務管理グループの担当者(アルコール検査の立会者)が、各乗員出頭時に、乗員からのアルコール検査立ち合い要請の有無に拘わらず、アルコール検査およびクルーオーダーにおける一連の点検の実施について確認する手順とした(2019年2月3日より開始済)。これらの対策については、今後、以下の方向性で更なる強化策の検討を推進する
アルコール検査の第三者立会いも含めて、専任担当者を配置する(2019年3月中)
アルコール検査およびクルーオーダーにおける一連の点検をシステム化し、これら検査や点検を適切に実施しない限り乗務できないようにする(2019年度)
(2) イレギュラー等で乗務割が変更になり、乗員が2名一緒にアルコール検査を受けられない場合における乗務前の相互確認について、再周知を行った(2019年2月7日)
(3) クルーオーダーにおける一連の点検記録についても、地上運航従事者等による第三者確認が漏れる事態が想定されるため、操縦室における相互確認の必要性について検討する(2019年2月中)
(4) 社長/安全統括管理者、安全推進室長および運航乗員部長の各々から、本件事例を紹介し、アルコール検査の実施について再周知するとともに、特に飲酒習慣のない乗務員に対して、アルコール検査の重要性について強調した注意喚起文書を発行した
(5) アルコールに係る意識啓発教育の内容を見直し、今回の事例を事例紹介として追加するとともに、飲酒習慣のない乗務員への注意喚起として、アルコール検査の重要性について強調した内容とする(2019年4月以降実施の安全教育から反映予定。それまでの間は、前項の注意喚起文書で補足説明する)
(6) 当面の対策として、アルコール検査に対する注意喚起のプラカードを航務部門カウンターのコンピュータディスプレイやその近傍に表示し、乗員が気象情報等にアクセスする際にアルコール検査の必要性について再認識できるようにした(2019年2月4日)
(7) 機長の健全性判断が遅れた原因につき調査分析し、必要な対策を講じる(2019年2月中)

2019年2月13日
株式会社フジドリームエアラインズ

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