「信州ポークのソーセージと
ドイツ・ビールにレッカー」

宵闇が迫ると夏でも涼しい風が頬を撫でる信州松本。この気候はドイツに似ているらしい。

ドイツと言えば、松本城のそば、静まり返った路地裏で30年も前からドイツの生ビールを出し続ける店がある。

大勢の人でにぎわう店内に分け入りカウンターに着く。「美味しいビールをください」と切り出すと、飲みやすいピルスナーと『ソーセージの盛り合わせ』を勧めてくれた。この店のソーセージやハムは、個性豊かなドイツ・ビールに合うよう本国の製法にならい、信州ポークとたっぷりの塩、最小限のハーブやスパイスで作った自家製だ。

白い皿の上では、色と大きさの異なる5本のソーセージが美しいカーブを描いている。まずはベーシックなソーセージにかぶりつく。程よく塩気を帯びた豚肉の甘い脂が、ジュッと染み出す。松本という土地柄を象徴するかのような、雑味のない素朴で優しい味だ。舌に残った塩分がビールを欲し、すぐに一杯を呑み干した。

皿には旨そうなソーセージが4本……。せっかくならハムも試してみたい。メニューには、フルーティーな白ビールから清涼感のある黒ビールまで、さまざまなドイツ・ビールが並んでいる。よーし、ここはひとつ腰を据えて、呑み比べといこうじゃないか。